応用生物学系 岸川淳一 准教授らの研究グループは、ヒスタミンH4受容体(H4R)(用語1)の立体構造を、クライオ電子顕微鏡法(Cryo-EM)(用語2)を用いて解明しました。生体アミンの一種であるヒスタミン(用語3)は、ヒスタミン受容体を刺激することによりアレルギーや炎症に関与します。4種類のヒスタミン受容体の中でH4R は、アトピー性皮膚炎や喘息などの慢性アレルギー疾患の治療標的として注目されています。本研究により、今まで未知であったH4Rの立体構造が明らかになり、薬理学的特徴が異なる2種類の作動薬 (ヒスタミン、イメチット)の結合構造をそれぞれ決定することで、H4Rが持つ特異的なリガンド認識機構を解明しました。特にイメチットの結合によるPhe344の構造変化は、新たな空洞「Aromatic slot」を形成し、サブタイプ選択性に重要な役割を果たしていることが分かりました。これらの結果は、ヒスタミン受容体のサブタイプ選択性の分子的基盤を洞察し、H4Rを標的とする薬剤の合理的なデザインに貢献できることが期待されます。(本学プレスリリースより)
*Dohyun Im, *Jun-ichi Kishikawa (*共同筆頭著者), Yuki Shiimura, Hiromi Hisano, Akane Ito, Yoko Fujita-Fujiharu, Yukihiko Sugita, Takeshi Noda, Takayuki Kato, Hidetsugu Asada & So Iwata
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