目的のタンパク質を発現させるため、標的タンパク質の遺伝子を導入した大腸菌や哺乳類培養細胞などを培養します。
タンパク質は複雑になればなるほど、異種発現は難しくなります。その場合には、標的タンパク質を持っている本来の生物を培養することもあります。培養時間は、短いもので1日程度、長いものでは、1週間程度要するものもあります。
培養した菌体や細胞は、遠心分離で集めて、使うときまで冷凍保存するのが一般的です。
培養した菌体や細胞から、目的のタンパク質を精製します。精製にはいくつかの吸着カラム(イオン交換カラムやアフィニティカラムなど)や、分子量ごと分けるサイズ排除カラムを組み合わせて行います。
標的タンパク質は膜タンパク質の場合が多いので、その場合には界面活性剤での可溶化も必要になります。タンパク質によって界面活性剤の相性があるので、そのスクリーニング(条件検討)も重要となります。
クライオ電子顕微鏡では、タンパク質を薄い氷の中に閉じ込めて、その様子を撮影します。微細な穴が空いた基盤(グリッド)に、精製したタンパク質の溶液を載せ、余分な溶液を吸い取ったあと、液体エタンなどで急速凍結を行います。すると、グリッドの穴の中に、タンパク質を含んだ薄い氷が作られます。凍らせたグリッドをクライオグリッドと呼びます。
クライオ電子顕微鏡の撮影において、クライオグリッドの調製は非常に重要です。いくつかの条件でクライオグリッドを作製し、クライオ電子顕微鏡を使って、良し悪しを判断します。もっとも良いクライオグリッドを、続く大量撮影に使います。
調製したクライオグリッドを使って、クライオ電子顕微鏡での大量撮影を行います。私達の研究室では、主に大阪大学蛋白質研究所に設置されている300 kV クライオ電子顕微鏡 Titan Kriosを利用しています。倍率は、標的タンパク質によって、80,000 倍~150,000 倍で行います。終夜連続撮影することで、約3,000~5,000枚の電子顕微鏡像を撮影します。
非常に高精細な画像なので、1回の撮影で数百GB~数 TBの容量を使用するため、大量のデータ処理が必要となります。
撮影した電子顕微鏡画像を使って、タンパク質の3次元構造を計算します。計算には、高性能GPUを複数搭載したPCを使います。解析の過程で、タンパク質の複数の状態を見つけることができる場合もあります。
解析がうまくいくと、タンパク質の密度マップが得られます。それをもとに、原子モデルを構築します。構築した原子モデルやこれまでの知見を合わせて、標的タンパク質の反応機構を明らかにしていきます。
また、基質や阻害剤が結合した状態の構造を明らかにすることで、創薬に繋がるような情報も得ることができます。
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